◆内容
高校生であるケーシー・クラックはクラスメイトのクレアとマルシアと帰宅途中の車内で突然男に襲われ誘拐されてしまう。
目を覚ますと目の前には眼鏡をかけた丸刈りの男が立っていた。
男はデニスという名前で彼女たちを誘拐した張本人であった。ケーシー達は脱出する方法を探るべく試行錯誤していると女性らしき姿の人物を壁越しに確認する。助けてもらうよう呼びかけるとその人物は部屋にまでやってきたが、なんと女性ものの服に身をまとった『デニス』だった。
ケーシー達は話をするうちにこの人物が多重人格だと知る。ケビンが本来の人格であり、彼を守るために他の人格が交互に現れていたのだった。
ケーシー達を誘拐したのはデニスであり、他にも全人格を従えるバリーや女性のパトリシア、子供のヘドヴィクなど人格の数は全員で23人にものぼる。
そして彼らは口々に24人目のビーストが現れ、ケーシー達はその生贄だと口にするのだった。
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◆良かった点・こんな人向け
ジェームズ・マカヴォイの怪演
アニャ・テイラー=ジョイが可愛い
◆悪かった点・こんな人には向かないかも
多重人格への偏見になる…かもしれない
いつものように少しネタバレを含みます。
また「アンブレイカブル」を視聴している前提で話しています。
◆感想・ひとこと
・登場キャラクタ
ケーシー
幼少期から叔父に性的虐待を受けており他人と距離をとって生活している。
女優のアニャ・テイラー=ジョイは美人でかつ個性的で顔立ちをしているので見たら忘れないのではないだろうか。
美人ですね。
ケビン
厳しすぎる母親からしつけと称する虐待を受けた。
そのトラウマによる防衛反応から他の人格を作り出した。ほぼ人前に出ることはない。
バリー
主人格で他の人格を従える。ただし他の人格が信じているビーストは否定している。
デニス
ケーシー達を誘拐した人物。過度な潔癖症。ビーストを信じている。
パトリシア
人格の中で力があり、多くの人格が彼女に従っている。
ヘドヴィク
子供の人格。年齢の為か無邪気で他の人格の言うことに従うがバリーに変わり人格の入れ替えのコントロールを得るようになる。
ビースト
ケビンを守ると言う目的のため、一部の人格達が呼び出そうとした24人目の人格。
残忍で超人的な身体能力をもつ。
・ジェームズ・マカヴォイ
別作品ではX-MENで若き頃のプロフェッサーXを演じていたり今売れっ子の実力派俳優。
プロフェッサーXは優しく穏やかなのだが、今作では女声や子供、潔癖症の男にビーストなど多様な役を上手く使い分けている。
人格により話し方もかなり違う。
特にシーンですごいなと思った箇所は、冒頭で主人公達が車に乗っていた時にケビンが乗り込んでくるシーンとセラピストと話しているシーン。人格が切り替わりが凄い。
・結末
ビーストにはショットガンすら効かず(ショットガンは年代物で状態は悪い)追い詰められた絶体絶命状態で、ヒロインが助かる方法が予想外。
・多重人格について
24人のビリー・ミリガンのようで人格の中に犯罪を犯す、実際今回は誘拐や殺人、ものがいるのだが多重人格=常に犯罪者ではない。
多重人格は幼少期のトラウマにより形成されるが常に相手に対して本当にアグレッシブなのだろうか?
一方作中で、セラピストが彼らは我々いわゆる『健常者』よりも可能性があると言っているシーンがある。
この箇所は、いわゆる一般的に考えられている多重人格者への負のイメージをへの問題提起訴とも言えなくはない?
・脱出への糸口
個人的にシャマラン監督が多重人格を使ったのは映画としての演出の理由からではないかと思う。(偏見があると言う訳ではない)
誘拐されて閉じ込められた状態の女の子達は普通であれば捕まった時点で終わりである。
だが多重人格者の中には助けになる人格がいて(ビーストに反感or信じていないなど)、相手を知ることで脱出への糸口となっているのだ。
人格内でビースト信奉者とそうでないものの争いと、バリーが全人格のコントロールが難しくなってある点がそれである。
・物理的な狭さvs精神的な広さ
映像では現実的な孤立した狭い密閉空間の中で話が進むのに対比して、ケビンを含め24人もの多岐にわたる個性的なキャラクタが演出として物理的空間は狭く、キャラクタの内面性や作品自体は広がりあるよう作られているように見える。
実際全人格が出てくるわけではなく、ケビン達は、セラピストの言葉を借りると、可能性や深さの象徴なのだろう。
・誘拐された理由
「痛みを知らない無垢な者たち」=幼少期に虐待されなかった人々を誘拐し生贄とすることで24人目ビーストを呼び出そうとしていたからだった。
個人的にはこの理由というのがちょっと…となる。
・前作アンブレイカブルとの関係
映画の最後に一瞬だが前作の主人公デヴィッド(ブルース・ウィルス)が登場する。
ヒーローがヴィランについて知った瞬間である。
・続編ミスター・ガラスへ
ただ次作のミスター・グラスに続く作品でこれを見ておかないとストーリーの理解が難しい。
・ヒーローvsヴィラン
一作目のアンブレイカブルのデヴィッドはヒーローとして、今作のスプリットのビーストはそのヴィランとして次作で対峙することになる。
・最後に
シャマラン監督なので相変わらず独特な雰囲気の映画である。
ただし他の作品と比べるとインパクトは弱い。
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